大判例

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東京高等裁判所 昭和33年(う)2009号 判決

被告人 李炳浩

〔抄 録〕

所論は、まず、原審が本件の事実認定に供した医師藤原喜久夫作成の診断書は、その作成の経過が全く不明であり真正に作成されたものかどうか疑わしいので、たとい刑事訴訟法第三二六条の同意があつたとしてもこれを証拠として採用したことは訴訟手続上の法令違反であると主張するけれども、当時本件の捜査にあたつた警察官進藤重忠の当審における証言によれば、本件について被害者工藤泰郷は当初から告訴の意思なく医師の診療も受けず、前記診断書の作成される直前ごろ、本件の捜査上必要であるとの警察官の求めにより始めて当該医師から右診断書の作成を受けてこれを警察に提出するにいたつた事情が推認され、したがつて原審が右書面を証拠とするについて刑事訴訟法第三二六条所定の同意があり、かつ同書面が作成されたときの状況からみて相当と認めたうえでこれを証拠に供したことが推測されるから、この点について原判決に何ら所論のような違法はないといわなければならないし、また右診断書のみによつては同記載の疾患と本件犯行との因果関係は不明であること所論のとおりではあるが、これと原審における被害者工藤泰郷および金八権の各証言その他原判決挙示の各証拠を総合すれば原判示被害事実を認めることができないことはない(もつとも被害の程度については、全治四十日間を要したといつてもそれは医師の治療を受けなかつたからで、所論のようにもし医療を受けたとすればもつと短期間に治癒したかも知れないと考えられるし、また被害者をしてあえて医師の治療も受けずに自然に治癒するにまかせたほど比較的軽微なものであつたのではないかと推測せしめるものである。)ので、原判決に審理不尽の違法ないし事実誤認ありとする論旨も理由がない。

(足立 山岸 位野木)

註 本件は量刑不当で破棄

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